石橋英子 ソロ@下北沢lete

石橋英子さんのソロlive。

下北沢leteは、こじんまりしたcafeで、誰かのおうちにお邪魔しているようなあったかい雰囲気だった。

 

私のお気に入りの「carapace」の中でも、一番好きな「coda」が聴けなかったことは少々残念だが、「emptyshout」「hum」など、どれも素晴らしい演奏だった。

エフェクターのループ機能をこんなにもたっぷりと自由気ままに、すてきに使いこなしている人を見たことがない。即興演奏の長い間奏では、なんだか夢心地だった。


長尺の即興演奏は、グラドウス・アド・パルナッスム博士に出てくるフレーズのように聴こえる時もあれば、一人Reichのようなことが始まったり、壮大すぎてぽやんとしてしまった。(こうやって既存の音楽に当てはめるのも違う気がするが・・・一個人の音楽史に乗っけて考えると、こういう風な聴こえ方もあるのだよ~ということで勘弁していただければ。)

その場で録音した音を再生して、更にその上に音をどんどんと重ねていくその様は、細い糸にパールを一粒一粒通していくようだった。そのパールは、糸の中で揺られひしめきあっている。

今思い出しても、ふんわりと夢の中にいるようだなあ。

 

 

英子さんのMCがおもしろかった。

「山本達久さんとliveをすると、決まって雨が降るからどっちが雨女/男かって喧嘩するけど、今日も雨が降っていないしあちらが雨男ってことになりますね。顔からして雨男ぽいじゃないですか。じめぇっとしてて(笑)あっこんなこと言っちゃいけませんね。」

と。英子さんの、何気ない会話のようなMCがとても好き。

 

英子さんの音楽に触れていると、自分の音楽史を辿っているような気持ちになる。

それは、英子さんの紡ぎだす一音一音が、私の好みの一音と極めて近いところにあるからかもしれないけど・・・。

幼少期、母と一緒に初めてピアノに触れた、あの時の懐かしい記憶がぽこぽことよみがえる。英子さんの音楽は、そんな音楽だと思う。