スズキコージ+渋さチビズ劇場@つくばカピオホール

スズキコージ+渋さチビズ劇場@つくばカピオホール

ゲスト:川下直広 七尾旅人 

 

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つくばロックフェスで配布していたフライヤーを観てとても気になったのと、友達がこのライブのスタッフをやるとのことだったので観てきた。

ゲストの七尾旅人の感想を中心に書きたい。

フライヤーにでかでかと「即興」と書かれていたので、歌ものをしっかりやるというよりは、渋さチビズ、川下直広、七尾旅人のインプロライブか~くらいに考えていた。しかし、七尾旅人のソロタイムがたっぷりと。

多幸感に包まれ過ぎて、帰宅後もしばらくだらりと脱力、ぼんやりとしていた。

 

旅人さんは、観客席に子どもがたくさん居て本当に上機嫌だった。「ガキ」と愛をこめて呼ぶ旅人さん。子どもが旅人さんの歌を真似て歌ったり、エフェクターから出される様々な音に合わせて「シューッ」とか「ウォーッ」とか言っていて、それはそれはとても素晴らしい即興演奏だった。

旅人さんのMCはいつも以上にキレキレだったし、つくばのお客さんは年齢層が幅広くてちびっこからおばあちゃまおじいちゃままで、笑い声がどかーっとカピオホールに響き渡っていた。

最近のライブでは定番となっている「圏内の歌」を久しぶりに聴いて、辺見庸の「瓦礫の中から言葉を」を久しぶりに読み直してみようかと思った。日常は強い。ものすごい強度で、戻ってくる。でも圏内の歌を聴くと、様々なノイズが全て取り払われて、あの日の出来事にそっと身を傾け、叫びだしたくなる。

そして、まさかニューアルバムのタイトルチューン「リトルメロディ」をつくばで聴けるだなんて…新しいアルバムからやったって…とか、他の曲にしようか…とか、すごく悩んでいて冷や冷やしたのだけれど、最終的に演ってくれた。

 

 

大学院からつくばに来て、知らない土地つくばで最初は友達も居なくて、一からスタートで、今は少しずつ馴染んできたけれど、そんな土地で七尾旅人の歌声に触れることが出来て本当に良かった。

七尾旅人さん、つくばに来てくれて本当に有り難う。

 

旅人さんが自分でペインティングした、スーツケース。

 

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石橋英子 with もう死んだ人たち ワンマンライブ 六本木 SuperDeluxe

修論のあまりの忙しさから、足を運ぶことに躊躇いを感じていたLiveであったが、ライブハウスに着いてみると、椅子がたくさん並べられていて、最前列の真ん中もまだ空いている!座りながら間近で観られる、とてもラッキーなライブだった。足を運んでよかった!

 

石橋英子ともう死んだ人たち。

 

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石橋英子さんの音楽、バンド編成で聴くとプログレプログレしてるんだなあとしみじみする。

アンコール一回目はSteely DanのDirty Work,二回目は、BrufordにRushと盛りだくさんでした!!ジムさんがアンコール二回目の時「わたしなにもできないヨ」と言いながら、変拍子の凄まじいユニゾンをさらりと弾いていた。かっこよかった!

YYZを楽しそうに演奏する皆さんが特に素敵だったなあ。スタジオに入って「ちょっと合わせてみるかあ」みたいなノリで演奏している様子が伝わってきてすごく良かった。(達久さんが「公開練習ね」と言っていたし。)

坂田学企画「坂田親子とジムオルーク」@下北沢440

下北沢440にて。

お友達同士2~3人で来ている女性客が多く、開演前はおしゃべりに花が咲いている様子で、とても賑やかだった。

自分は、論文を読もうと持ってきていたものの、周囲のおしゃべりが少々気になってしまいまた盗み聴きのようなことをしてしまった。ふう。

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一部は坂田学ソロ、坂田学とジムオルークduo

二部は坂田親子、坂田親子とジムオルーク

という構成だった。

 

坂田学ソロは約30分程たっぷりと演奏し、私はドラムソロに集中しすぎて初っ端から精神を根こそぎ持って行かれた感じだった。

轟音が響きわたるハードな演奏から、バリの民族舞踊を彷彿させるメロディアスな演奏まで多彩な顔を伺わせ、その顔と顔との繋ぎ方が本当に秀逸だった。

インプロを聴き始めて日は浅いが、そこから想像されるのがぶつ切りの物語ではなく、目眩めく展開の一続きの物語であると、あ~面白いなあと感じる。

 

坂田親子の演奏では、どちらかがフェードアウトして演奏が終わるのではなく、親子の息をぴたりと合わせ「ジャッ」と歯切れ良く演奏が終わっていて(またそれが不自然ではなく)とても気持ちがよかった。

 

インプロのライブでのアンコール演奏は是非が分かれるところなのかもしれないが、今日のライブに関してはアンコール前のジム+坂田親子の演奏より、アンコールでの演奏の方が断然良かった。と思うのは私だけだろうか・・・。

アンコールでは、ジムオルークのギターフレーズが軸となっているように聴こえたが、ギターの音色を聴いていたら、急に死んだばあちゃんちの犬のことを思い出して独りで悲しくなっていた。生と死のあわいのような音楽に聴こえたからかなあ。

 

 

坂田明の演奏は、2月の平家物語で聴いた以来だったので1ヶ月ちょっとぶりぐらいだったが、線の太いサックス演奏とおちゃめなMCは健在であった。

好きだなあ。

 

やんてら企画 灰野敬二+外山明@入谷なってるハウス

初めての、入谷なってるハウス

下町の中にぽつり、雰囲気のあるライブハウス。

 

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ライブは2部構成で、1部の開始から20分間くらい、なぜだかひやひやしながら観ていた。

というのも、外山さんが、灰野さんの出方をかなり探り探りやっている節があり、「お、これは!尺長めでやって欲しいな~。」と思っても、すぐに外山さんが静けさを取り戻してしまって・・・

静寂を切り裂くように再び灰野さんがギターをかき鳴らし、それに外山さんが寄り添うように盛り上がりをみせるも外山さんは早々とさっと引いてしまったり。少々もどかしい演奏が続いた。(外山さんの謙虚で、協調性があり、穏やかな性格の反映と考えてもいいかもしれない。)

 

ただ、1部も半ばを過ぎ、2部に突入すると、外山さんにもアグレッシブさが前面に出てきて、面白い化学反応が生まれていたように感じる。

 

ライブ全体を通して、外山さんのクラッシュシンバルの使い方や、スネアドラムの使い方が興味深かった。叩くというよりは、スティックを擦り付けるような感じで、シンバルのふちに擦り付けながら上下に動かしたり、スネアの中心部分にスティックを突き立ててスティックの周りを囲むようにして握りしめ、その手を上下に動かしたり、とにかく面白かった。

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下町情緒溢れるこのライブハウスで、しっとりと、時に激しいインプロを聴けたことはいい思い出。

やんてらさん有り難う。

石橋英子 ソロ@下北沢lete

石橋英子さんのソロlive。

下北沢leteは、こじんまりしたcafeで、誰かのおうちにお邪魔しているようなあったかい雰囲気だった。

 

私のお気に入りの「carapace」の中でも、一番好きな「coda」が聴けなかったことは少々残念だが、「emptyshout」「hum」など、どれも素晴らしい演奏だった。

エフェクターのループ機能をこんなにもたっぷりと自由気ままに、すてきに使いこなしている人を見たことがない。即興演奏の長い間奏では、なんだか夢心地だった。


長尺の即興演奏は、グラドウス・アド・パルナッスム博士に出てくるフレーズのように聴こえる時もあれば、一人Reichのようなことが始まったり、壮大すぎてぽやんとしてしまった。(こうやって既存の音楽に当てはめるのも違う気がするが・・・一個人の音楽史に乗っけて考えると、こういう風な聴こえ方もあるのだよ~ということで勘弁していただければ。)

その場で録音した音を再生して、更にその上に音をどんどんと重ねていくその様は、細い糸にパールを一粒一粒通していくようだった。そのパールは、糸の中で揺られひしめきあっている。

今思い出しても、ふんわりと夢の中にいるようだなあ。

 

 

英子さんのMCがおもしろかった。

「山本達久さんとliveをすると、決まって雨が降るからどっちが雨女/男かって喧嘩するけど、今日も雨が降っていないしあちらが雨男ってことになりますね。顔からして雨男ぽいじゃないですか。じめぇっとしてて(笑)あっこんなこと言っちゃいけませんね。」

と。英子さんの、何気ない会話のようなMCがとても好き。

 

英子さんの音楽に触れていると、自分の音楽史を辿っているような気持ちになる。

それは、英子さんの紡ぎだす一音一音が、私の好みの一音と極めて近いところにあるからかもしれないけど・・・。

幼少期、母と一緒に初めてピアノに触れた、あの時の懐かしい記憶がぽこぽことよみがえる。英子さんの音楽は、そんな音楽だと思う。

障害と「才能」を結びつけることに伴うリスク

最近、発達障害精神障害を背負って生きている人に対して「この人はこんな凄いことができるけれども実は障害があります。」というような描き方をしているメディアに触れる機会が多い。

確かに世間が喜びそうな物語を内包しているとは思うが、障害と「才能」を結びつけることに伴うリスクは否定できないと考える。

 

才能が無くてもいいじゃないか、とまでは言わないが、特異な才能があるということが「障害者がこの社会で生きていてもよいのだ。」ということを証明する免罪符のようなアイテムとして機能して欲しくはない。

私がお子さんと関わっている中で、この先この子は社会でどうやって生きて行くのだろう・・・と長いスパンで必ず考える。障害があろうとなかろうと、人はこの社会で生きていかねばならない。社会がどうであれ、これはもう仕方ないことなのだ。障害を持ちながら、如何に生きて行くのか。特異な才能を持ち合わせていないとしても、社会で生きるためにはどうすればいいのか・・・いつも考えてしまう。

 

 

障害と「才能」というと、私の脳裏をふとかすめたのは乙武さんであった。

小学校の時、乙武さんの著書を読んで感じた違和感がある。それは、「血の滲むような努力と周囲の人間に恵まれた結果、障害者でも健常者と同じように暮らすことができた成功物語」が描かれていたことに対し、私の周囲に居た障害者は乙武さんとかけ離れている存在であった。障害者も頑張れば乙武さんみたいに・・・という障害者像が生まれやしないかと、幼いながらにびくびくしていた。乙武さんみたいに頑張らないと、生きていてはいけない存在なのか。頑張りたくても頑張れない人はどこに行ってしまうのか。頭を抱えてしまった。

最近Twitter乙武さんは活発に発言をしていらっしゃる。そんな人と繋がっているのか!というようなコネクションも垣間見える。健常者から見て「すごいな!」と感じることがあっても、それは障害とは切り離されたところにある、一つの煌めきを持った「才能」なのではないだろうか。(勿論、完全に切り離せるわけではない。障害をきっかけに才能が開花したことも否定することはできない。)

乙武さんの場合は、身体障害なので話はまた別なのかもしれないが、発達障害精神障害があるから「才能」があるのではない。そこら辺を安易に結びつけている人が多いのではないか、というここ最近の印象である。

冬来たりなば春遠からじ〜人間椅子ワンマンツアー2011師走〜@渋谷O-WEST

人間椅子ワンマンツアー。待ちに待ったこの日。

ライブ当日は大学院の講義があったため、講義終了後自転車をかっ飛ばして駅に向かう。

吹きすさぶ風の中ペダルを踏みしめる。ペダルを漕げど前に進まぬ気持ち。

はやる気持ちを必死に押さえ、ようやく渋谷に到着。

 

ライブハウスに到着したのが開演30分前くらいなので、和嶋さんサイドはもう人で一杯なのだろうな・・・と落胆しながら扉を開けると・・・なんとまあまあスペースがあるではないかっ!!(平日、しかも月曜日だったからかな。)ロッカーは全て埋まっており荷物置き場に困ったが、和嶋さんサイドの物販コーナー下の隅の方に、荷物を置けそうなスペースが若干あり皆そこに置いていたので、申し訳なく思いながら荷物を置かせていただいた。

物販コーナーの下に隠れるようにして身を屈め、セーターを脱ぎいざ人間椅子Tシャツを身に纏う。

何かが私にふわっと舞い降りてきたようだ。

 

結論から言うと、今まで私が観てきた人間椅子のライブの中で、1、2を争う素晴らしいライブだった。

選曲のバランスもよく、かつレア曲の演奏もあり、Black Sabbathの再結成祝いでサプライズ演奏まであり・・・ライブ終了後には2時間以上ある映画の壮大なストーリーを追い続けているような気持ちだった。

 

和嶋さんのMCで、「鈴木くんはチンピラにもよく挨拶をされるよね」というようなくだりがあって、その時に「ごんっ」という音がして明らかに和嶋さんは前歯をマイクにぶつけていた。でも、何喰わぬ顔でそのままMCを続ける和嶋さんに、萌えすぎて悶えてしまった。(大槻ケンヂだったらここは全力で笑いをとりにいくはずだ。それはそれで面白いのだが。)

 

 

此岸礼讃がリリースされてから、和嶋さんは特に今昔聖に思い入れがあるのかしら?と思うことが多い。今昔聖を演奏すること自体も多いし、MCで今昔聖にまつわるエピソードをじっくり話すことも多いからだ。(因に、「春の匂いは涅槃の薫り」も演奏することが多く、私はこちらの曲の方が好きだ。音源は9分45秒もあるまあまあ長い曲ではあるが、サビに向って怒濤の展開を繰り広げる様が大好き。)もちろん、今昔聖のギターは言わずもがな素晴らしかったのだが、「ギラギラした世界」では「21世紀の精神異常者(King Crimson)」のリフ部分を挟んだり、とにかくギターを「魅せる」演奏だった。

 

人間椅子を本格的に聴くようになりだしたのは、大学1年生を終えようとしていた頃。ファン歴は3年ちょっとと浅いが、人間椅子倶楽部に入会し定期的にライブにも足を運べることに、この上ない幸せを感じる。

いつも一人でライブを観ているが、一人神経を研ぎすまし毛穴という毛穴から人間椅子の音を吸収している様は誰にも見られたくない。

これから、誰かが隣に居てライブを観る時が訪れたりするのか・・・と思うと少し緊張する。

次回のライブまで、何を楽しみに生きよう・・・和嶋さんおすすめのトルストイの民話を取り敢えず熟読しよう。